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亡き夫が愛した名車「S500」でラリーに出る日を夢見て! ホンダ「ビート」で特訓する女性オーナーと甥の共通する「ホンダS」愛

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TEXT: 奥村純一(OKUMURA Junichi)  PHOTO: 奥村純一(OKUMURA Junichi)  FACT CHECK: 山本 亨(YAMAMOTO Tohru)

目標は貴重な「S500」のステアリングを握ること! 甥っ子と二人三脚で挑むクラシックカーイベント

往年の名車の魅力を存分に味わえるとして、愛好家から高い人気を集めているクラシックカーラリー。今回は、千葉県成田市で開催された「ニューイヤーラリー」に、ホンダ「ビート」で参加した叔母と甥のコンビにフィーチャーしたい。亡き夫の愛車を自ら運転するという目標に向け、特訓を兼ねてイベントを楽しむ叔母と甥ふたりの心温まるエピソードを披露したい。

多種多様な楽しみ方があるクラシックカーラリーの世界

日本自動車連盟(JAF)が主催する公認ラリー競技にクラシックカーで参加する熱心なモータースポーツファンもいるが、多くは道中をコマ図(ルートの略図)と呼ばれるルートマップに従って走行するツーリング的なものだ。そこに、チェックポイント間の指示速度の正確さを競う要素や、コース途中のヒントをもとにした設問、お買い物競争といった内容を付加することで、よりゲーム性を高めた独自の競技となっている。

欧米の著名イベントと同様に格式の高いものから、宿泊を伴うクラブ単位で気軽に楽しめるものまで、多種多様なラリーが存在する。主催団体によってイベントごとの特色が異なることも、人気の理由だろう。

そうしたなかで、クラブイベントとしてラリーを主催しているのが「モーガンクラブニッポン」である。愛車との対話を楽しみ、クラブ員同士の親睦を深めることを目的とし、毎年年明けに千葉県成田市を軸に開催されてきた。なんと2026年で36年目となる歴史あるイベントだ。

数年前からは、他の車種を楽しむクルマ仲間からのリクエストに応え、参加車両の門戸を広げている。現在では、さまざまなクラシックカー乗りたちが集う新年会的なイベントとして定着している。

甥の愛車が修理中につきホンダ「ビート」でエントリー

会場となるホテル日航成田(千葉県成田市)の駐車場には、早朝から国内外のクラシックカーが集結した。そのなかに、デビューから35年が経過しているとはいえ、クラシックカーと呼ぶにはまだ少し若いホンダ ビートの姿があった。ホンダ ビートは、1991年に登場した軽自動車規格の2シーター・オープンスポーツカーである。車体の中央にエンジンを配置する「ミッドシップレイアウト」を採用しており、MTを駆使してダイレクトにクルマを操る楽しさが味わえる名車として、現在でも根強い人気を誇っている。

ハンドルを握るのは女性ドライバーの須田昌代さん、そしてコ・ドライバー(助手席でナビゲートする役割)を務めるのは甥の小屋渉さんという、叔母と甥のコンビである。

「甥の愛車であるホンダ『S600』の修理が終わらなかったので、今年も私のビートで参加させてもらいました」(昌代さん)

じつは昌代さんは、長年亡き夫の愛車ホンダ「S500」のコ・ドライバーとして、数々のクラシックカーラリーを楽しんできたベテランである。

そんなふたりを幼少期から身近で見ていた渉さんも、大のクルマ好きへと成長した。免許取得後に選んだ愛車は日産「スカイラインGT-R(R32型)」だったが、叔父が愛したホンダのスポーツカーを自身でも体験したいと考え、4年前にホンダ S600を増車した。

しかし、さっそく参加したイベントの帰り道で、旧車ならではの手痛い洗礼を受けることになった。オイル量が減っていたことが原因でメタル(エンジン内部の軸受け部品)を焼き付かせてしまい、エンジンを壊してしまったのだ。

「一度エンジンは組み直してもらったのですが、今度はトランスミッションの調子を崩してしまいました。それが直ったと思ったら、またエンジンが不調で……」

と、渉さんは負のスパイラルに陥っているそうだ。そのため、今回は昌代さんのホンダ ビートの助手席に収まり、コマ図の読み上げを担当している。

いつかは亡き夫が愛したホンダ「S500」のステアリングを

じつは昌代さんには、このホンダ ビートを運転することで叶えたい夢がある。それは、いつの日か亡き夫とともに数々のラリーを楽しんだホンダ S500(1963年10月〜1964年9月生産・販売終了 総生産台数1363台とされ国内登録は約500台という)のステアリングを自ら握り、イベントに参加することだ。

「S500は貴重なクルマですからね。もし私が運転して壊してしまったら、夫だけでなくホンダファンの方々からも叱られてしまいます」

まだしばらくはホンダ ビートで運転の経験を積み、いつかはホンダ S500でラリーに出場したいと願う昌代さん。そして、愛車ホンダ S600の復活を目指す“渉”さん。果たして、どちらのホンダスポーツが先に次回のニューイヤーラリーを楽しむことになるのだろうか。

きっと数々のラリーやあちこちのイベントに積極的に参加していた亡き須田正守さんも、二人の奮闘を楽しみにしながら見守ってくれていることだろう。

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  • 山本 亨(YAMAMOTO Tohru)
  • 山本 亨(YAMAMOTO Tohru)
  • 1960 年生まれ 大学卒業後ベストカーガイド編集部勤務。1990年オートスポーツ誌に転職、1992年F1速報誌(アズエフ)編集長。1995年月刊ビデオマガジン編集部に転職、1996年ベストモータリング編集長(のち局長兼務)。2005年ネコパブリッシング・イベント本部長/4輪編集局長兼務。2015年交通タイムス社に転籍、2020年より現職(総編集局長)自動車の分野に問わずオールマイティだが、特に旧いモータースポーツとクラシックカーに造詣が深い。愛車は1969年DATSUN Fairlady SRL311/YAMAHA RD250ほか

 

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