総アルミボディのポルシェ「356」レストモッドが登場
英国の世界的レストア工房であるソーンリー・ケラムが、世界限定50台のレストモッド車両「356 European SL」を発表した。ポルシェ初の国際モータースポーツ参戦車両であり、1951年のル・マン24時間レースでクラス優勝を果たした「356 SL(スーパーライヒト:超軽量)」へオマージュを捧げたモデルである。総アルミ製ボディによる930kgの軽量な車体と200馬力の空冷エンジンを組み合わせ、現代の最新技術で再構築したカスタマイズの詳細を解説する。
総アルミ製ボディの徹底した軽量化により現代のスポーツカーに匹敵する走りを実現
1951年当時、総アルミ製ボディを採用していたことから「アルミ缶」という愛称で呼ばれた356 SL。ソーンリー・ケラムはそのスピリットを受け継ぎ、伝統的な手作業と最新のCADおよびCNC加工を駆使して、美しく流れるような総アルミ製ボディを造り上げた。
この徹底した軽量化により、車両重量(乾燥重量)はわずか930kgという数値を記録している。そこに最高出力200馬力を発揮する空冷フラット4(水平対向4気筒)エンジンを搭載しており、パワーウェイトレシオ(出力荷重比)は約4.65kg/psという驚異的な数値を叩き出す。これは、現代のライトウェイトスポーツカーの代表格であるトヨタ「GR86」(約1270kg/235馬力=約5.4kg/ps)などを大きく凌駕する数値であり、このクラシカルな車体が現代のピュアスポーツカーに匹敵する、極めて俊敏で強烈な加速性能を秘めていることを証明している。
クラシックな外観に日常使いできる現代的な快適装備を隠し持つ
外観は1950年代のエレガントなクラシックスタイルを極めているが、ドアを開ければ現代のドライバーへ向けた配慮のある空間が広がっている。
最高級のレザーを使用したオーダーメイドシートが乗員を優しく包み込み、現代の交通事情でストレスなく日常使いができる仕立てが施されている。クラシックカー特有の運転に対する我慢を強いることなく、洗練された快適性を提供する設計となっている。
356用オリジナルクランクケースをベースに排気量を2.3リッターまで拡大
心臓部に収まるエンジンは、単なる社外品の流用ではない。ポルシェ「356」のオリジナルクランクケースをベースに、排気量を2,332ccまで拡大するという、エンジニアのこだわりが詰まったカスタマイズが施されている。180馬力の「ツーリング」と、200馬力の「スポーツ」という2種類の仕様が用意されており、これに5速のドグミッションが組み合わされる。
さらに足回りには、初期型911にインスパイアされた独自のリアサスペンションを採用し、オプションでアクティブダンパーやカーボンセラミックブレーキまで選択可能となっている。
数千時間の作業を経て現代の道を力強く走るための息吹を吹き込む
この356 European SLを1台完成させるためには、熟練の職人たちによる数千時間にも及ぶ緻密な作業が必要となる。オリジナルのシャシーを補強し、パネルの隙間をオリジナル以上に揃え、現代の道を力強く走るための剛性を確保しているのだ。
生産台数はわずか50台に限定される。空冷フラット4の野太いサウンドを響かせながら現代のスポーツカーに匹敵する走りを披露する時、ドライバーはブランドが歩んできた歴史の重みと職人たちの高い技術力を同時に味わうことになる。国境と時代を超えて蘇ったこのアルミボディの車両は、自動車史に敬意を払いながら現代の解釈を加えた希少なマスターピースとなっている。






































