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【日産「アリア」で1000キロ超テスト】EVの長距離移動が「快適」か「不便」か東京〜大阪往復で試してみました

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TEXT: GT-R Magazine編集部  PHOTO: 金子信敏/GT-R Magazine

充電に掛かる時間は急速充電器のスペック次第。150kWhも設置され始めている

というわけで、バッテリー残量が50%を切ったところでSAの急速充電スポットに立ち寄って充電スタート。30分の充電時間で75%程度まで残量が増えた。「え? 30分でそれだけ!?」と思ったが、どこまで入るかは設置されている充電器のスペックによって変わってくる。

91kWhのバッテリー容量を持つアリアB9の場合、0%から100%まで充電するには、計算上90kWh級の充電器で約1時間、45kWh級の充電器では約2時間掛かる(充電器やバッテリーのコンディション、外気温などによって左右される)。今回の行程では新東名高速の掛川SAや名神高速道路の多賀SA、草津PAなどに90kWhの急速充電器が設置されているが、それ以外は40~50kWhの急速充電器が多い。なので、アリアB9のようにバッテリー容量が大きいEVは、スペックの高い充電器がある場所を事前に調べておいたほうがいい。

ちなみに、今回の取材後、2023年3月2日からは日本の高速道路(SA)として初の150kWh急速充電器が新東名の浜松SAと駿河湾沼津SA(上下線とも)に設置され運用を開始。今後も順次高出力タイプの充電器設置を拡大していくというから、EVの利便性はさらに高まるだろう。

結局、帰路のことも考えて目的地近くでも充電し、横浜からの道中、2度のピットイン(急速充電)で無事に到着。しかも、先客もおらず、幸いなことに充電待ちもゼロだった(帰路も常に空いていた)。今後BEVの数が急速に増えていくようなことがあれば充電渋滞が起こる可能性もあるだろう。ただし、現状では充電スポットが満車になっていることはまだ少ないようだ(休日や大型連休などは状況が変わるだろうが)。

こと充電環境に関して言うと、現時点でEVを使用することにさほど抵抗を感じなかったというのが素直な感想。スマホのアプリ(EV smartや高速充電なび等)で充電スポットの混み具合や使用状況、充電器のスペックなども事前に確認することもできる。

手放し可能なプロパイロット2.0はEVの利点が生きる

さて、アリアでの長距離移動で感心したのはEVとしての性能だけではない。日産自慢の「プロパイロット2.0」による運転支援技術も大きなアドバンテージだ。スカイラインのハイブリッドモデルや新型セレナなどにも採用されているこの機能を説明すると、「高速道路や自動車専用道路を運転者が設定した車速を上限に、先行車と車速に応じた車間距離を保ちながら、車線中央付近を走行するための運転操作や車線変更操作を支援。またナビゲーションシステムで目的地を設定すると、ルート上の高速道路の出口までアクセル、ブレーキ、ステアリングを制御し支援」となる(日産自動車の説明書からの引用)。

もう少し簡単に言えば、先行車追従型のオートクルーズに、条件が揃えば手放しも可能となるステアリング操作支援が付いている機能。木村拓哉が手と足を離してアリアをドライブし、助手席の松たか子が驚くというテレビCMをご覧になった方も多いだろう。実際に初めて手放しにチャレンジするときにはちょっとした緊張感を伴うが、慣れてしまうと「手を離すだけでこんなにもリラックスできるのか!」と驚いてしまう。

もちろん、何かあったときにはすぐに自身でステアリングを握れる準備をしておかなければならないし、よそ見をしていると「ピーッ!」という警告音とともプロパイロットの支援がキャンセルされてしまう(ドライバーの目線や顔の向きなどを車両側のカメラで監視している)。車線や車間維持の精度が高く、後方もカメラでモニタリングしているため、追い越しができる条件が整うとウインカー操作をきっかけに「車線変更」まで支援してくれる(この際はステアリングに手を添える必要アリ)。プロパイロット2.0は出力のコントロールが緻密に行えるEVとの親和性が高く、完全ではないが「自動運転とはこういうことか」という未来感が味わえる。

GT-Rの伝家の宝刀、アテーサE-TSの技術と知見も投入されている

そしてもう一つ、今回試したかった4WDシステム「e-4ORCE」の威力。東京と大阪の移動では降雪区間がなかったため、長野県まで足を延ばして雪道での走破性も試してみた。R32型のスカイラインGT-Rから採用されたトルクスプリット型の4WDシステム「アテーサE-TS」で培った技術を元に、前後のモーターで最適な駆動力配分とするのがe-4ORCEの特徴だ。

FRベースのGT-Rでは後輪が滑ったら前輪にもトルクを配分するが、アリアのe-4ORCEは通常はフロントモーターで駆動し、状況に応じてリアのモーターがアシストするというシステムだ。さらにブレーキも協調制御することで、前後左右の4輪の駆動配分を最適にコントロールするというものである。前後駆動配分はメーター表示を切り替えることでモニタリングすることも可能。雪道のワインディングでは勾配やカーブの曲率により前後のモーターの出力がコントロールされているさまがバーグラフで目視できる。

安全な場所でちょっとラフにアクセルを踏み込んでみたところ、VDCの制御によるトラクションコントロールが働き、ホイールスピンすることなくしっかりと車両を前に進めることができた。ここでもEVの出力コントロールのアドバンテージが生きてくる。エンジン車だとどうしても断続的に駆動力をコントロールしている感じが伝わってくるが、EVはトラコンが効いているという実感はほぼなく、ただただ安定してトラクションを掛けることができる。

というわけで、今回の移動では雪道も含めトータルで1274kmを走行し、平均電費は4.8km/kWhであった。91kWhのバッテリー容量を持つB9の場合、満充電で436.8km走行できる計算である。このくらい余裕があれば、日常使いはもちろん、旅の友としても積極的に駆り出したくなる。アリアB9 e-4ORCEでのロングツーリングを経験し、BEVならではの性能の高さと先進性にすっかり惚れ込んでしまった次第である。

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