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ガソリンのアバルト乗るなら今のうち!? 激辛仕様「695トリビュート131ラリー」で峠を走ると最高すぎでした【AMWリレーインプレ】

ガソリンのアバルト乗るなら今のうち!? 激辛仕様「695トリビュート131ラリー」で峠を走ると最高すぎでした【AMWリレーインプレ】

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TEXT: AMW 竹内耕太(TAKEUCHI Kota)  PHOTO: AMW 竹内耕太

乗り心地はハッキリ言って悪い! でも運転はしやすい

アバルトにはこれまで幾度も乗る機会を得てきたのだが、久しぶりにエンジンを入れるとレコードモンツァマフラーから「ビロロロロ」という音が響きわたり、それと同時にステアリングとシートごしにエンジンの振動が身体に伝わってきて、どこか懐かしいような、「これだよこれ!」と懐かしさにも似た嬉しさがこみ上げる。最近はデジタル化が進んだクルマや、スポーツカーでもジェントル志向になっているからだろうか。ベース車のフィアット500デビューから16年にもわたって熟成されてきた「生きた化石」ならではの、アナログなガソリン車に乗っている感覚が、かえって新鮮にすら思えてきてしまう。

都内の市街地から首都高の渋滞にかけてノロノロ進んでいる中でも足の硬さは顕著で、段差もゴツゴツ拾うし、フツーの感覚でいえば、乗り心地は悪い。でもひと昔かふた昔前にはそこらにあふれていた、ガチガチにサスを引き締めまくったスパルタンなスポーツカーたちの拷問のような乗り心地を思い起こすなら、振動のカドは丸いし、まだまだ不快なレベルではないと弁護できる範囲だ。

武骨なアルミシフトノブと、やはりアルミ製の3ペダルを操作しながらビロロロ響くアバルトを低速で転がしているだけでもテンションが上がる。往年のイタリア車とは違ってエンジンは低回転でもトルクが太く安定しているので、MT車に乗れる人なら誰でもストレスなくすぐ馴染めるはずだ。

サベルト製のスポーツシートもどっしりと体を支えてくれてナイスなのだが、ただ、ステアリングコラムにテレスコピック(前後方向)の調整機能がないのはこの形のフィアット&アバルトの数少ない残念なポイント。とはいえアフターマーケットでステアリング位置を調整できるボスが入手できるので心配は不要だ。数日お借りする程度では、クルマに体を合わせるのも楽しさのうちだった。

走る、曲がる、止まる、すべての動作がキビキビ楽しい

いよいよ地元のワインディングにアバルト695で乗り入れれば、あとはもう至福の時間だった。よく響くレコードモンツァマフラーは、それでも今どきの最新スペックなので可変バルブ機構が組み込まれていて、低回転域ではまだしも抑えていた音が、3000rpm以上で一気に元気さを増し、ブーストとともにパワーもどんどん盛り上がる。さらにダッシュボードに設置されたサソリのマークのボタンを押せばスポーツモードにシフトし、最大トルクが230Nmから250Nmへとマシマシに。

ブレンボ製4ポットキャリパーを奢られたブレーキの出来がまた優秀で、踏み始めから奥の方までリニアに効いてくれるから、アクセルペダルもまた安心して踏んでいける。そして市街地ではゴツゴツしているだけのサスペンションは、峠こそわがフィールドとばかりにしっかり踏ん張ってくれる。リアがややバンピーなのはご愛敬のうちで、公道をマトモな速度で走っている限りは問題ないだろう。

そう、アバルト695に乗ったときのアドレナリン過剰分泌状態を思い出しながら今この原稿を書いているが、実際のところ、絶対的速度はたいして出していない。ただシンプルに、加速する、曲がる、減速するという動作ひとつひとつがクイックで濃密に面白く、かっ飛ばしている気分が盛り上がるのだ。

そういえば20年ほど前にWRCを見始めた頃、コリン・マクレーやカルロス・サインツ(父)などのインカー動画を見てむやみにテンション上がったなあ、などと走りながら思い出したのは、このクルマが(世代は違うけど)WRCインスパイアな限定仕様ということもあるし、アバルトに乗っていると主観的な体感速度が加速しっぱなしだからだ。

* * *

久々のアバルト体験。「こーゆーのが好きなんでしょ?」とクルマが語りかけてくるようで、それはオッサン世代のノスタルジーかもしれないけれど、パワーをモリモリ感じられるガソリンエンジンをマニュアルで操る一体感と楽しさは、ヤング世代にもぜひ今のうちに味わっておいてほしい体験。それも、「メーカー純正でここまでやるの?」という良い意味でのオバカさは、人類が生んだクルマ文化の極北と言っても過言ではないだろう。

あ、ただし購入前は、パートナーや家族と一緒に試乗するのを世界平和のためにくれぐれもお忘れなく。

■specifications
ABARTH 695 Tributo 131 Rally
アバルト695トリビュート131ラリー

・車両価格(消費税込):517万円
・全長:3660mm
・全幅:1635mm
・全高:1520mm
・ホイールベース:2300mm
・車両重量:1120kg
・エンジン形式:直列4気筒DOHC 16バルブ インタークーラー付ターボ
・排気量:1368cc
・エンジン配置:フロントエンジン
・駆動方式:フロント駆動
・変速機:5速MT
・最高出力:180ps/5500rpm
・最大トルク:230Nm/2000rpm(SPORTスイッチ使用時250Nm/3000rpm)
・燃料タンク容量:35L
・サスペンション:(前)マクファーソンストラット、(後)トーションビーム式
・ブレーキ:(前)ベンチレーテッドディスク、(後)ディスク
・タイヤ:(前&後)205/40R17

■「AMWリレーインプレ」記事一覧はこちら

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  • AMW 竹内耕太(TAKEUCHI Kota)
  • AMW 竹内耕太(TAKEUCHI Kota)
  • 田舎の大学院で古代インドのサンスクリット語を研究していた元・学者の卵。クルマ遊びにハマって中古車販売店で1年働いた後に出版業界へ。クルマやカルチャー系の雑誌のほか、翻訳書、人文書、地図帳、写真集など手がける。クラシック・フォルクスワーゲンが趣味の中核で、愛車は1963年式カルマンギア。数年前に都内から小田原へ移住し、賃貸ガレージハウスでリモートワークしつつ、箱根や伊豆のワインディングをのんびりドライブする日々。
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