ハンドリングもまたカミソリのように研ぎ澄まされていた
それでも本来なら安易なアクセルオンはご法度なのだが、誘惑に駆られてドバっとやってみた。結果はすぐにオフにすることになって、これが人生2度目の加速中アクセルオフ事件である。隣に乗ってフル加速されると、一瞬気が遠くなるほどの加速Gが味わえる。その加速だけではなく、ハンドリングもまたカミソリのように研ぎ澄まされたもので、まあ完全にレーシングカーのそれと言っても過言ではないと思う。とにかくちょっと切っただけで、シャッとノーズがインに向く。結果切っては戻しのいわゆるソーイング状態になるから、クルマの挙動も不安定そのもの。隣に乗ったモータージャーナリストにしてレーシングドライバーの某氏から
「へたくそっ!」
と言われてしまった。まあそこまで辛辣ではなかったが
「切り過ぎなんだよステアリングを」
とのご託宣であったが、本物のレーシングカーはきっともっと微妙なステアリング操作が必要なのだろうな……と感じたものである。自分がかつてレースで使ったミニとはまあ次元が違う。
結局箱根の山をかけ巡り、首都高速を使って東京まで戻ったとても痛快で、ワクワクの試乗であった。箱根の山のてっぺんで撮った当時の写真が残っている。もう20年前のことだから、私自身も若い。
乗降性はすこぶる良い
ご存知の通りGT40と言うのは正確な名前ではなく、その車高が40インチであったところから、その名前が付けられた。しかし、オマージュのフォード GTはオリジナルに比べるとボディがひと回り大きく、そのため、車高は44インチあったそうだから、GT40とは呼べず、あえて言うならフォードGT44となる(そうは呼んでいないが)。
それにしてもこの低い車高にもかかわらず、乗降性はすこぶる良い。その理由は、ルーフに回り込んでガバッと大きく開くドアにある。頭をかがめることなく普通に乗り込めるから車高の低さを感じさせないのである。
2000年代初頭のフォードは、その少し前から「リビング・レジェンド」と称して、昔のデザインを現代風にアレンジして投入するデザインを主体としていた。量産化されたのはこのフォードGTと、同時デビューしたサンダーバードや、2005年に登場したマスタングなどがそれだ。どうもこの頃はデザイン的なアイデアが枯渇していたのかもしれない。それにしても超が付く高性能車は若いうちに乗らないとダメだ。まあ、若すぎると若気の至りで危ないけれど……。





































