オリジナル度の高い個体だがオークションでもマニアックすぎたのか流札
コルトン氏のオーナーシップのもとVWポルシェ914の「ポルシェ・クラシック証明書」を申請する。この証明書は、ポルシェ本社に保管されている製造時の記録に基づき、その車両がオリジナルであると証明する貴重なものである。
「Hennessy Porsche(ヘネシー・ポルシェ)」社が検査を実施し、とくにエンジンとトランスミッションの番号がポルシェ本社の記録と一致していることが確認されるなど、車両ヒストリーの確かさについて非常に望ましい事実が証明された。
さらに2021年になるとコルトン氏は燃料システムを点検したほか、燃料ラインやポンプ、フィルター、インジェクターシールを交換。同時にエンジンオイルの交換も行われ、シフトリンクに新品ブッシュが取り付けられた。
さらに2023年6月から8月にかけて「Auto Atlanta(オート・アトランタ)」社にて複数の部品交換やメンテナンスを受け、一連の請求書総額は1万4500ドルに上った。
2025年6月、オークション出品に先立って行われたブロードアロー社による車両検分で、オリジナルのウィロー・グリーン塗装を保持していることが確認。塗装の厚さを測定するシートによると、車体の外装全体で2.5〜4.5ミル(約0.065〜0.127mm)の塗膜が測定された。
ブラウンのコーデュロイ内装は極めてオリジナルの状態を保っており、オリジナルの取り外し可能なハードトップと前後トランクも同様。マッチングナンバーのステータス、オリジナルの仕上げ、低走行距離を兼ね備えた4気筒版914として、極めて希少な存在と自負しているようだった。
今回出品された、奇跡のオリジナリティを誇るポルシェ914について、ブロードアロー・オークションズ社では
「ポルシェとフォルクスワーゲンの長きにわたる関係を示す優れた1台」
と力説していることを裏づけるように、3万5000ドル〜4万5000ドル(邦貨換算約520万円〜約660万円)という、4気筒の914としてはかなり高額のエスティメート(推定落札価格)を設定した。
ところが、8月13日に行われた競売では、売り手側が期待していたほどにビッド(入札)が伸びなかったようで、残念ながら流札。日本時間8月19日の時点では、公式オークションカタログに「Inquire For Price(価格応談)」と記されていた。その後、無事に商談が成立したようで6万4400ドル(邦貨換算約950万円)で販売された。
20世紀当時の中古車マーケットにおける4気筒のVWポルシェ914といえば、100万円でも入手できそうな個体がけっこう出まわっていたと記憶している。その価格はさすがに現代では通用しないとはいえ、ここ数年のアメリカにおける売買事例を見ても、2万ドル台半ば(邦貨換算約370万円)あたりがハイエンドのようだ。そう考えるとオークション後に6万4400ドル(邦貨換算約950万円)で購入した人物は、この914にどのような価値を見出したのか興味が尽きない。





















































































