ホンダスピリットが実現してきたレース界での数々の功績
自身もレーサーとして玉川サーキットを走った経歴のあるホンダの開祖、故・本田宗一郎氏はレースを「走る実験室」と称していた。そして、自ら興した会社と部下であるエンジニア、そして自社製品を向上させる手段として、モータースポーツをとても大切にしていたのはご存知のとおりである。
ホンダの「チャレンジングスピリット」を体現する重要な例として、レース活動は他のあらゆる自動車メーカーよりもホンダの企業文化に根付いている。
ホンダはその創成期から、2輪および4輪の双方とも世界中のモータースポーツの最高峰であるグランプリレースに参戦し、輝かしい勝利を収めてきた。初参戦から60年を経た現在に至るまで、ホンダのエンジンは4人のドライバーに合計8度のF1ドライバーズチャンピオンをもたらした。
2023年シーズンはマクラーレン・ホンダのセナ・プロスト期を上回る勝率
またホンダ製F1エンジンは、マックス・フェルスタッペンとセルジオ・ペレスが圧倒的な強さで1レースを除く全レースを制した歴史的な2023年シーズンを含め、シーズン最多勝記録を2度樹立している。ちなみに昨2023年シーズンの勝率は、1988年に「マクラーレン・ホンダ」がアイルトン・セナとアラン・プロストとともに記録した勝率記録を上回るものだったそうだ。
横置きミッドシップエンジンのホンダRA272は、モントレー半島と同じくカリフォルニア州のロサンゼルスに生を受けたF1ドライバー、リッチー・ギンサーがステアリングを握り、1965年シーズンの最終戦メキシコGPで優勝。それは1964年8月のドイツGPでホンダチームがV12エンジンを搭載した「RA271」を擁してF1デビューを果たしてから、わずか1年後の勝利だった。
そしてこの夏、ラグナ・セカ・サーキットの名物コーナー「コークスクリュー」には、いかにも往年のホンダと思わせる、超高回転のV12ホンダ・ミュージックがとどろいた。それは、ホンダF1が紡いできた60年を祝福するファンファーレだったに違いあるまい。